淡水で使うボートを除き、船舶は常に塩の脅威と隣り合わせです。今回はアンカーウインチを再生させる中でその塩害をご紹介します。あまり綺麗な画像ではありませんがお許しください。

まずはアンカーウインチ。このアンカーウインチは10年程度、設置されていたものです。

電源さえきちんと取れば稼働するのですが分解整備をやってみようと思います。

まずはローラーを取り外すところから。

蓋を外すことは何も難しくありません。問題はこのローラーをどうやって取るか。塩で固着してなかなか抜けない場所です。今回はゴムハンマーで振動を与えながら外しました。抜けない場合はプーラーがあると便利です。

さてここから、画像のステンレス六角ボルト4本を外すわけですが一番の難関です。塩で固着が激しいのでしっかりした工具とトルクを掛ける工夫が必要です。場合によってはボルトが中で折れてしまうこともあります。で、ご覧いただきたいのは下の右の画像。ボルトの溝に塩が入って固まっています。4本ともこんな感じでした。

長年、海水にさらられ水分だけ蒸発し、塩だけが残った状態です。といってもエンジンのように海水を冷却水に使用しているわけでもないんですが。もちろん熱も発生しませんし。それでもボルトに塩が目詰まりしてしまい固着します。船外機などエンジンの使用後に真水を通すのはまさしくこれがエンジン内部で発生するから。ボルトであればワイヤーブラシで除去できますがエンジン内部はそんなわけにはいきませんし、そもそも内部の状況を把握することすら不可能です。オーバーヒートを繰り返し、エンジンがダメージを受け、修理に出して初めて判明、というパターンでしょうか。

このあとさらに分解していきます。

内部までサビと塩害が見られます。ブラシはケースの黒い蓋を開けると確認できます。作業性いいですね!ブラシもしっかり残っているので今回はモーターはこのままで。分解せず防錆塗装だけします。ペーパーでサビを落としシャーシブラックで塗装します。

そのまま全体を再塗装でリフレッシュします。

塗装後、再度組み立てて終わりです。これでしばらくトラブルなく稼働してくれると思います。組付ける際のボルトには次回の分解時に困らないよう、しっかりグリスを入れてから締め付けます。今回は乾燥時間も含めて2日ほどかかりましたがアンカーウインチの分解から塩害についてご紹介しました。海でボートを使う場合はしかっりメンテナンスを行い不慮のトラブルに合わないようお気を付け下さい。